This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

中央銀行は持ちこたえられるか ──忍び寄る「経済敗戦」の足音

 

義父様に勧められて正月に一気に読んだ新書。

政権批判ではあるが、それを前面に出すのではなく、欧米諸国(アメリカも入っているというのが結構大事)の「中央銀行」がどのように情報公開を行いながら計画を立て、それを実践し、フィードバックしているか、という話でした。

今の政権の政策の甘さや誤りを指摘すると、政権の担い手をはじめ、支持者たちから「この人はわかっていない」と一蹴されてしまうように感じる昨今だけれども、河村さんは、非常に論理的に、「金融政策とはなにか」ということを説明してくれる。説明してくれるんだけど、私には正直、細かいことはよくわからなかった。「私は中央銀行の働きも、金融政策もよくわかっていない」ということがわかったことが一番の収穫で、この本のわからなかったところはもう一度読み直したいし、紹介されていた「東京マネーマーケット」を読んで、金融の実務をちゃんと知りたい。

これを読むと、現在の政権はバカなのか、という批判をしたくなりがちなんだけど、その前に冷静になって考えてみると、結局、金融政策をちゃんと見張ることができず、目先の情報に右往左往しているメディア、そして、誰より自分自身の愚かさを痛感する。

昔、大学のゼミで、「昔、電車に乗るとサラリーマンは新書を読んでたが、今は漫画を読んでいる」という話を聞いたのを思い出す。たとえ働く場は社会の末端であったとしても、社会全体の動きをしっかり見極めていたいし、そのための勉強は続けたい。

一年のはじめにモチベーションを高めてくれる本に出会えたことに感謝。

帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方

 

帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方

帰国子女に見る世界に通用する英語力の作り方

 

子供が生まれて、早期教育関係の案内が次々届く中、私たちが唯一娘に残せる遺産である「教育」をどうするか考えていました。

その中で、家族の外国人が多くいる我が家では、英語は重要な位置を占めています。

やはりお腹の中にいるときから英語を聞かせなきゃいけないのかしら、と思っていたときに、子供への英語教育を研究している友人に会い話しを聞いたら、なんと、1歳ぐらいまでは母語を確立するためには、英語をたくさん聞かせるべきではない、という話しを聞き、早期教育にいろいろ疑問を持ち始め、この本を読んでみました。

 

結論としては、「日本の英語の授業でしっかり勉強すれば英語は話せるようになる、大人になってから訓練しても遅くない」という話しでした。

 

本として読むと、同じ説明がなんどもくどくどと述べられているし、もっとあっさりさっぱりとまとめることができる内容だな、とは思うんですが、描かれていることはとても重要。

 

中学時代には発音を、高校時代には構文を、そして大学時代には多読をすることが通じる英会話に繋がるという内容で、非常に納得。

 

忙しくてリスニングばかりしていたけど、本で挙げられていたおすすめの本を読んで、英語のストックをもっと増やしていこうと思いました。

 

よい社会の探求

 

よい社会の探求―労働・自己・相互性 (選書“風のビブリオ”)

よい社会の探求―労働・自己・相互性 (選書“風のビブリオ”)

 

 

ロールズとかギデンズとかをなんちゃって読みしていた時代を思い出した。

彼らの引用を読んで「昔の著名なこの人って、こーゆーこと言ってたんだ!」とわかった気になっていた頃。

この本も、気をつけないとそういう風に読めてしまうなーと思った次第。

思想史は面白いけど、ただの「まとめ」であれば、結局まとめる人の「まとめたい方向性」があってのまとめになってしまうわけで、それぞれのテキストを象徴するものではない。

 

しかもこの本は、「よい社会の探求」というタイトルがつきつつ、実際は「よい社会の探求をどのようにしてきたのか」だったのか、というのがちょっとがっかり。

 

結局読むほど、「よい社会ってなんじゃい」という思いがぬぐえなかったけど、最終的に「正解はリクールの考え方じゃないかな」みたいな方向性がでてきて、「よい社会っていうのは結局、個々人それぞれの物語の中にある」のかなーと思った。

 

ともかく、新生児を育てながら読む本じゃないね。思うことがあっても、とてもじゃないけど、思考をまとめられない。が、少なくとも、今までの思想史の系譜をある程度概観することで、多少の議論の武器は得られたかもしれない。

 

他方、何千年も議論されてても、結局思想史でかんがえられていることがなかなか行き渡らないことを考えると、実践とはなんなのか、と考えさせられる。

鼻(ニコライ・ゴーゴリ)

 

鼻

 

 図書館で目にして、何故か借りてしまった一冊。

大爆笑というほどではないのですが、確かにファニーなお話でした。

「なんでそーなるかな」と思いつつ、予想外の出来事があったときについつい行ってしまいがちな行動・思考回路が多少デフォルメされながらも、なかなか忠実に表現されているなーと。

 

生きていく上で大事なのは、ユーモアだと思うんですよね。

今後も、こういうユーモアがあるお話を読んでみたいな。と。

ロシア文学は、今後も少し読み進めてみたいなー。

月刊pen ムーミン完全読本

 

 空前のムーミンマイブームのなかで、より一層ムーミン熱を高めてくれた一冊。

近所の図書館で手に入れました。

それにしても可愛いのなんのって。

 

今までのムーミンの歴史やら相関図やら、気になる情報がたくさん載っていました。

 

いつこの熱が冷めるかしらね。

ラスト5イヤーズ


映画『ラスト5イヤーズ』予告編 - YouTube

 


A Part of That - The Last 5 Years - YouTube

 

www.last5years.jp

 

やっぱり、オリジナルの方の歌声は最高に美しく、物憂げ。

 

昨日、大好きなj-waveで新作映画「ラスト5イヤーズ」を見てきました。

以下、いろいろな感想を。

 

1.恵比寿ガーデンシネマについて(試写会会場)

 

座席がめっちゃいい!映画見るなら絶対ここにきたい!

前の席との幅もしっかりあるし、お尻も(あまり)痛くならない。

ユナイテッド・シネマ 映画館 UNITED CINEMAS | 上映スケジュール、インターネットチケット購入など映画情報が満載

 

みたい映画もいろいろあるし、トイレやお店もすっごいおしゃれで、映画の世界に浸れる。ビールがヱビスビールというのもたまらない。

 

2.ラスト5イヤーズについて

2.1映画の曲

今回、夫と二人で完全に映画の曲にハマり、このブログを書きながらも聞いている始末・・・

アナ・ケンドリックは決して嫌いじゃないんだけど、なにせ、高い声がキンキンして、聞いていてとっても辛いので、このオリジナルバージョンを聞いて、こころがキュンキュンしている。

映画全編を通して、ピアノの響きが最高にいい。和音も、感情を非常に深く・的確に表している感じがする。特に不協和音がでてくるタイミングが絶妙で、身悶えするぐらい。

オリジナルバージョン、どっかで借りれないかな。映画は「出会い」と「別れ」を描いているから悲しい曲ももちろんあるんだけど、曲を単体で聞いているととても美しくって、自分を元気づけたい時に聞きたい曲ばかり!!

 

私は「Nobody Needs To Know」が大好き。歌詞とかストーリー展開的には一番嫌いなシーンなんだけど、この曲の感情の表現の仕方が、たまらなく胸を締め付けるし、本当に美しい。和音って、こんな風に使えるんだ!これを作曲したJason Robert Brownは天才だと思うわ。


Nobody Needs to Know - The Last 5 Years - YouTube

 

あと、The Next Ten Minutesという曲もいい。


The last Five years - The Next Ten Minutes - YouTube

 

この映画で唯一、愛し合っているデュエット。でも、最初と最後の歌詞が同じで歌い手が違う、という、それだけのことが、不穏さを語るんだよね。本当に素晴らしい曲。

 

 

2.2映画の内容

映画の内容について

この映画を見たせいで、平和だった夫と2時間近く喧嘩。シーンの捉え方や感情移入がまるで違っていて、相手に対して不信になるぐらいだった。そのぐらい、この映画は、非常によく男性と女性の感情を表現していると思う。

ただ、だからこそ、ストーリーの陳腐さと軽さが少し気になってしまった。夢を追いかけるのは美しいことだよ、素晴らしいことだよ、でもさ、誰もが夢を掴めるわけではないし、夢を掴めないからといって幸せになるわけではない。いや、夢を掴んだからといって幸せになるわけでもない。まさに、ジェイミーがそうであったように。

夫が言っていたことだけど、この映画に「夢?別にいいよ、普通の幸せが一番」みたいなメッセージがあればまだ救いがあったんだろうけど、そういった、ちょっと踏み込んだメッセージがないから、最終的にこの終わりに絶望しかみいだせないような気持ちになった。

実際のところはわからないけど、「別れと出会いを交差させたミュージカル」という発想が強すぎて、ストーリーが十分揉まれていないんじゃないか、という気持ちにさえなった。曲がいいからこそ、それが本当にもったいない。

 

恋はしたくなくなるけど、大声で歌いながら日常を送りたくなること間違いなし!

 

私の日常がウェストサイドストーリーになる度 ★★★★☆

アメーバ経営

 

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

 

 転職活動の際にちょっとしたキッカケがありまして、興味を持ちました。

本自体は読み易い、はずなのに、3週間ほどかかってしまって・・・

転職活動しながらの読書だった、ということも確かにありますけども、それ以上にいろいろ問題が目につくという・・・

読み終えて思うのは、多分これ、凝縮すれば10ページぐらいで終わることを、何度も何度も繰り返し書いてるんですよね。だから、最後の方は既視感しかない・・・

 

・「人類はその黎明期において」といきなり1万年前ぐらいに飛んで歴史的解釈をするんだけど、これは本当に歴史科学的に正しい話なのだろうか。商売が大きくなり、経営者と労働者という関係が生まれたわけではないと思うし、そもそも経営者的立場にいた人は「自分の儲けを増やす」ことが命題だったと思うんですが・・・詳しい人に聞いてみよう

 

・何度も出てくる「フィロソフィー」って、確かに理想的だしそういう会社に勤めたいと思うけど、いわゆる「強制された自発性(by「労務管理の生成と終焉」日本経済評論社 2014/4)」を促しているだけ。「公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、博愛」というのは、一見、確かに正しいけど、実は非常に曖昧な概念で、とくに会社人として生きる時に、それぞれの概念に悩むことはある。公平と一言でいっても、どんな人に対しても同じように接することも、頑張っている人を頑張っているなりに評価することも「公平」という形で表現される。

 つまり、これらの文言を用いて、結局は経営者・上司などの思う方向に持っていきたいだけだし、むしろ何かの失敗などを追及するときに、上記の一見「人として大切なこと」に訴えかけるのは、良心に直接訴えかけるためよりインパクトが大きく、申し訳ないけど「ブラック企業化」を後押ししているだけに思える。

→この辺りは、月次の予定は「リーダーの強い意志と努力によって100%達成されるべき」という文言や、経営者や上司が掲げた目標を達成するという目標を達成するためには、「大幅な値下げをしようと、何としても採算を出すのだ」という気合が大事だとする考え方にも通じる。結局は「なんとかしてください」という丸投げの理論。

 

いろいろと著者の強い思いがあるのはよくわかったし、その思いの結果、このような大きな会社になった、と思っているということはよくわかったけれど、本質的なところは研究者などにしっかり調べてもらわなきゃなんだろうな。調べてあるかもしれないですね、私が知らないだけで。

 

知らない会社について「ブラック企業」などというレッテル張りをするつもりはないんですが、この本を読む限りは、ブラック企業になる要素は十分持ち合わせた会社なのではないかと思ってしまいました。知り合いに、関連企業で人事系のことをやってた人がいると思うので、ちょっと聞いてみようかな。