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This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

当事者主権

当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))

当事者主権 (岩波新書 新赤版 (860))

上野千鶴子はキライです。
でも、この本は本当に面白かった。
上野千鶴子と共著しているのは中西正司さんという方。
若いときに事故に遭われて障がい者になられた方。
内容も、障害者の話が多い。
でも、高齢者やフェミニストの話もふんだんに盛り込まれている。
どうやら、上野千鶴子と中西正司は「マイノリティー運動家」という点で共通しているようだ。
そして、フェミニズムと障害者という全く異なるようにみえるこの問題に、意外に共通点がある。
それが、「当事者主権」という主張、つまり、私のことは私が決める、他の人は例え専門家であったとしても私のことに対しては絶対的な決定権を持ちえない!ということ。

私は(法学部だったし)ある程度のパターナリズムには親和的でしたが、がらっと変わりました。
やっぱり私たちは、勝手に、自分たちの作り挙げた固定観念で話を進めてしまいがちなんだよね。
それはきっと、専門家たちもそうなんだと思う。
専門家だから、患者のことはある程度はよくわかってるんだけど、「患者がどういう気持ちか」っていうことは体験しないとわからない。
だけど、無駄に「専門家」だから「知らない」とは言えず、勝手な自分の思い込みの押しつけをしてしまう。

でも、この本のいいところは、そういう人達をむやみに責めないとこだな。
彼等もまた、「非障害者」として差別の加害者であると同時に被害者になっている。
そして、その「非障害者」もまた、一当事者なんだ。

というと、きっと、この世の中に「当事者じゃない人」はいないんだよね。
「おわりに」にあった
「そのために、全世界の当事者よ、連帯せよ」っていうのが、(うさんくさい感じはしつつも)決して軽く受け止めることはできない。

それから、198~200頁は感動した。
まず、障害者がお互いの弱さを見せ合う事で支援し合う、という話。
これって、本当は誰にでも当てはまる話なんだよね。
互いの弱さを見せ合える関係っていうのは、本当に強い絆で結ばれるよね。

それから、普通は専門家で行う、治療方針の決定プロセスに、当事者(=患者)はもちろん、患者仲間も入る、っていうのはスッゴイ新鮮。
「患者どうしの助け合いが医者の治療や投薬よりも有効」なんだなー
AA(アルコール依存者の自助グループ)とか、最近だとクスリ中毒から抜けるための自助グループが有名だけど、その有効性を改めて知らされました。

もちろん、そこにもなんらかの脆弱さがあるはずで、それを探るのが実は私の卒論なのですw

障害者を作っているのは実は私たちの社会で、社会が変われば「障害者」という概念さえなくなるかもしれない。
一番上を目指す社会ではなく、一番下にも合わせられるような社会設計を考えていきたいのです。
なかなか、むずかしいんですが。 

でもとにかく、どんなことに対しても自分で決めつけるんじゃなくて、その場に居る、当事者の意見を尊重して聞くべきなんだな、ということは痛感させられました。