悪いのは私じゃない症候群
- 作者: 香山リカ
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2009/08/08
- メディア: 新書
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香山リカさんはいろいろ問題もあるようですが、私たちが日頃気付いているのに上手く整理したり表現したり出来ていない事柄を、上手に説明してくれてるように感じます。
題名だけを見ると「悪いのは私じゃない」として責任を放棄する人が増えている、ということなのかな?と感じがちですが、実はこのメインはそこよりも、「そういう人たちが、他の人の責任にはやけに厳しい」という話なのです。
香山リカさんは、古き良き日本人像として「すぐに謝る」ということをやけに取り上げています。
でも、最近の人達はあまり謝らない、と。
(これはどうなんですかね?日本人はよく「アメリカ人は謝らない」といいますが、これって事実と異なると聞いたこともあるし・・・まーここの話はひとまず棚におきましょう)
で、そういった人達は、自分の行った行為の責任を、自分自身にはおきません。
責任を、前世や、科学など、とにかく「自分以外のなにか」におしつけます。
なぜか。
それは、日本で誤った「自己責任」がはびこっているからです。
本来、自己責任は経済学などの「契約関係」において用いられたり、福祉の現場で障害者などが「他律ではなく自律していきる」ことを目指す一つのツールとして用いられたりしていました。
それがいつのまにか一人歩きし、「自分が関係したことの結果は全部自分で責任を取る」という意味になっています。
そんなの、本当は不可能かつ無意味なのに、いろんなことをごまかしながら、そういった「自己責任」が社会を蝕んでいます。
そういうなかで、「自己責任」を追究されることを恐れる人達が、「悪いのは私じゃない」と主張する。
それだけならまだいいかもしれませんが、たちの悪いのが、そういう人達が、他方では、他人に対して異常なまでの自己責任を追究するのです。
むかしあった、イラク日本人人質事件(http://ja.wikipedia.org/wiki/イラク日本人人質事件)なんて、まさしくその典型ですよね。
彼等は、自分が責められるのを恐れて他人を責めるのですが、その対象は、責めやすい人なのです、当然。
だから、政治家や富豪ではなく、公務員を叩く。
しかも「ネット」という匿名の手段を使って、異常に叩く。
そういった負のループは、人を傷つけ、苦しめるだけですよね。
ではそのループを断ち切るためにどうしたらいいのか。
私は、自分に少しでも悪い点が見つかるのなら、そして状況が許すのであれば、素直に謝ることが一番いいと思います。
そして、自分が間違った点をしっかり説明する。逆に間違っていないなら、それを伝える。
それから、公の場を人を責めない。
人を責めるなら隠れたところでやればいいし、ソースの信憑性が120%信頼できないかぎり、そもそも人を責めちゃいけないよね・・・
私は不器用だから、そういったことを地道に繰り返す、ということしか考えられない・・・
でも、そういう、一人一人の意識の違いが、生きやすい社会につながると思うんです。
それしか、ないと思うんです。