This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

終身刑の死角

面白い本でした!
日本の刑罰に関する状況って、私たちが思っているのとは全然違う!
私は勝手に「終身刑っていっても、日本では30年しないででてくるんじゃーん」とおもっていたので、
50年以上刑務所に入っている人がいるっていうのは本当に意外でした。

中世の死刑は、実は「人間が人の命を奪うことを決めていいはずない」という考えに立っていたので
ロシアンルーレット的な「決定的なとこは神のみぞ知る」的死刑が多かったらしい(私はすこしここに疑問もあるのですが)。
それが、フランス革命における「ギロチン」の誕生によって激変。
人が人を殺すことが認められているというのだ。
(でもでも、十字架刑とかアイアンメイデンとか火あぶりとか考えるとそうも言い切れない気がするのですが・・・)

ということで、まぁ死刑囚やらなんやらの話がつらつらでてきますが、
著者のメッセージは至って単純。
「仮釈放なしの終身刑は辞めた方がいい」ということです。
読めば、それに納得しました。

今回もいろいろ考えたのですが、一番響いたのは、刑務所に入っている人が病死するときの話。
アメリカのように、病気になるとすぐ最新鋭の病院に運ばれるけど、家族とかもなく孤独死するのと、アフリカのようにむちゃくちゃ汚い刑務所でそのまま死んじゃうんだけど仲間に看取られる。どっちがいいのか…うーん。
むずかしいね。

それから、日本では、死刑執行すると「仏様になる」ので、出所したことになるというのは新鮮だった。

更に言えば、被害者側に関する意見も気になる所。
大切なのは、被害者の回復であって、加害者の厳罰ではない。
頭から事件のことが離れないのは、被害者にとって不幸。
被害者の裁判参加も復讐も、死者のために行うものらしいし。

結局こう考えると、私たちって犯罪者の処遇についてなにも知らずに生きている。
法治国家なのに、こんなこと、赦されるんだろうか…

終身刑の死角 (新書y)

終身刑の死角 (新書y)