海炭市叙景
- 作者: 佐藤泰志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: 文庫
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読みにくくてしょうがないんですが、気がつくと、ものすごーく引き込まれています。
読みはじめが、なんだか読み飛ばしたくなるくらいなのに、最後の方は、一文字も読み飛ばせなくなる。
函館市をモデルにしている話とあって、北海道のことをしっている私はとてもイメージがつきやすいですけど、別にしらなくても、どこかの海沿いの、元炭坑の街なんか想定すればいいと思うのです。
著者佐藤泰志は自殺してしまい、実はまだ未完だという話もあるようですが、著者は、一人一人の登場人物に対して深い愛を抱いていると思います。だから、すごくムカつく人や、すごく嫌な人もいるのに、嫌悪感は抱かず、むしろ狂ったような人にさえ共感してしまう。
人って、いろんな側面があって、誰にどの側面を見られているかは異なる。だから、やっぱり最悪なひとも最高なひともいない。ただどういう側面からみるか、だけ。
ただ、人間って不器用だから、自分のよいところを人にみせることができないんだよなぁ…
ともかく、なんだか共感する本でした。読んでしまうとなかなか世界から抜け出せないし、なんだか明るい気分になるハッピーエンドではないんですが、でもでも、けっして、暗い気持になったままということでもなく、私はすっきりしました♪