感情と看護—人とのかかわりを職業とすることの意味 (シリーズケアをひらく)
感情と看護―人とのかかわりを職業とすることの意味 (シリーズ ケアをひらく)
- 作者: 武井麻子
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2001/03/01
- メディア: 単行本
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看護師に必要な能力は、「何かができる能力ではなく、何もできない無力感や空しさに耐える能力」である。それは負の能力とも呼ばれ、「不確かさ、不思議さ、疑いのなかにあって、早く事実や理由を掴もうとせず、そこに居続けられる能力」のこと(キースの詩による)である。
これを聞く限りでは、非常に難しい能力であると同時に、悲観的、ネガティブな能力であるような気がする。建設的とは思えないし、その能力をどうやって養うのかもわからない。さらに、この能力は一定の「何かができる能力」がある上で求められる能力であるのだから、その難しさは比較できないほどである。
この能力は、精神療法家が好きな言葉らしい。
確かに、精神療法については、なにが効果がでるかわからない、いやむしろ悪化するかもしれないという状況の中にあって、行動しなければならないのだ。
それは、今の、震災後の私たちに求められている能力でもあるのだろう。
この本は、看護という仕事の特殊性を、独特の視点から述べていて、非常に読みやすいと同時に考えさせられるものであった。
特に、看護師が真に必要な資質、看護師が求められていること、といったことが、非常に具体的に書いてある。
非常に深く掘り下げられており、看護師のみでなく誰もが、感情について考えるときに示唆を得られるだろう。
いま看護師が必要としている政策はなんなのか、それを考える上で非常に有益だと思う。