気持ちのいい看護 (シリーズケアをひらく)
- 作者: 宮子あずさ
- 出版社/メーカー: 医学書院
- 発売日: 2000/09/01
- メディア: 単行本
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気に入った箇所
p117
弱者であることに開き直って、言いたい放題言うやりたい放題やる
弱者に開き直った人間のずるさとつきあうほど、つらいものはありません。
p118
医者は患者さんのハレの部分とつきあう仕事
看護婦はケの部分とつきあう仕事
p126
「私は患者さんだけがかわいそうなんだとは思いません。かわいそうというならば、人間はみな、誰もが、私もあなたもかわいそうだと思っています。
著者はフェミニストということもあり、限界も感じられた(特に障害者の部分はどうしても「感情論」を否定しているわりに結局感情論に終止している感が否めない)のだが、ただ、それをしのぐ「面白さ」をこの本は持っている。
一番は、看護師の「感情」に非常に素直だということである。
人は誰しも様々な感情をもっている。
特に「感情労働」の典型といわれる看護師はそうなんだろう。
本書では、如何に自分や患者の「感情」に関わるか、ということを真摯に考え、普通では声に出すのが恥ずかしいぐらい深くまで提示している。
ここで、書かれていることもまた、看護師を越えて様々なこと(特に人に関わること)に示唆を与えるのではないだろうか。
但し、本書はあくまでも、本書という体裁や流れのなかで本書のような内容たることが認められているとも思う。もしこれがツイッターで流れていたり、ブログでかかれていたりしたら、「不謹慎」的な態度をとられかねないと同時に、私自身も、このような感情はせいぜい家族や本当に仲が良い友人間で共有すべきことなのだと思う。
この本の評価すべきところは、その、「おおっぴらにされるべきでないこと」をあえて、しかも嫌みない形で提示していることだろう。