現代の戦争報道
- 作者: 門奈直樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/03/19
- メディア: 新書
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先日も、ジャーナリストがデモに巻き込まれて亡くなったばかりだ。
ジャーナリストの中には、本当に不幸にも亡くなってしまうケースもあれば、「ジャーナリストを狙った」犯罪によって亡くなってしまうこともある。
前者はいいとしても、後者はなぜ殺されるのか。
それは、ジャーナリストが、戦争報道においてカギを握っているからである。
ジャーナリストは、多くの場合「事実」を報道する。
が、その「事実」が間違って認識されていたり、
様々な圧力によって「事実」がねじ曲げられてしまったり
もしくはその「事実」の解釈の段階で齟齬が生じることもある。
そしてその「事実」が大衆にわたった時に、彼等がどのように解釈するのか、という問題もあるだろう。
そういったなかで、「戦争」は、当初の姿から、どんどんと姿を変える。
なんて恐ろしいんだろう。
一番恐ろしいのは、報道をしている側が「これは真実である」という自信を持ってしまうこと、
そして、観ている人々も「これが真実だ」と信じ、それを否定することを許さない空気を作ってしまうことである。
これは、実はイラク戦争の際に、現実となってしまったのだが・・・。
この本では、何度も「戦争の最初の被害者は”真実”である」という言葉がでてくる。
これは、今述べてきたことを凡て包括する言葉だろう。
今一度「民主主義」について考えてみる必要があるのかもしれない。
一歩間違えると、愚衆政治となってしまう恐れもあるのだから。