This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

最後に一番大切なものを一つだけ挙げるとしたら、迷うことなくこの「無償の愛」を挙げます。

新しく子供を授かり、そろそろ知恵もついてきたところで、これからこの子供をどのように育てようか、ということを考えることが多い。

父や母は、「子供が育つことの邪魔をするな」というが、その具体的な手法がよくわからないし、おそらく私の父や母も完璧にはわかっていなかったのではないか、と思うことが少なくない。

ただ、子供と実際に向き合っていると、子供を「こんな風に育てたい」と思うこと自体がおこがましい、ということを痛感する。子供と二人きりだとあまりわからないが、子育て広場のようなところに連れて行って、同じぐらいの子たちと見比べると、自分の子供の性格の特徴のようなものが見えて来る。

夫の父母には、「生まれたときから、子供の将来の姿は見えるものだ」といわれたが、まさに、たった一年であっても、振り返ってみると、あのころからこの性格だなーと思うことが少なくない。

 

そういうわけで、世に流布する大半の子育てハウツー本(特に、「子供を東大に入れる」系のやつ)は信用していない。

が、この本は、「著者のパンプキンが自分の育児成功体験を執筆したわけではない。むしろ自分ができていなかった育児反省点を大々的に紹介した『反省文集』という感じ」であり、主に「エリート」と言われる人たちへのアンケートで構成されているため、納得度が高い。

 

一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる

一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる

 

 

成功体験を語るハウツー物は、「私は◯◯をしたから成功した」と自分の人生の成功のきっかけを勝手に挙げることが多いが、成功した理由をあげるということは実は難しい。なぜなら、成功した背景には、自分が成功要因だと考えていること以外にも様々な要因が存在し、因果関係を綿密にチェックしないことには、どの要因が「成功」に結び付いたかは本来は分かり得ないからだ。

 

そして、さらにいうならば「成功」しているというのは現時点での評価に過ぎず、死の直前まで「本当に成功したのか」は誰にもわからない。成功者として本を書いても、その出版直後に自己破産することだってあるだろう。だから、そもそも「成功」することを目的とした本というのは、はなつまみものなのだ。

 

その点「一流」というのは興味深い視点だと思う。一流であるとは、必ずしも有名人になることやお金持ちになることを意味しない。ただ、教養や品性をもち、周りの人々に愛されながら、自分の特性を生かしてポジティブに社会に貢献しようとする人、が一流なんじゃないかな、とは思う。

「幸福なキャリア・人生を切り開く、『子どもに感謝される育児法』を幅広く調査し、(略)複合的な視点で論じ」たと著者は語っている。調査といっても、「いわゆる」日本のエリートと思える「一流大学」の学生にアンケートをとった、というだけなので、学術的な意味での調査といえるかというと非常に疑問だ。切り取り方もとても恣意的で、この本を読んで、なにか具体的な手法がわかるのか、と言われると難しい。

 

ただ、一貫して「親が無償の愛を子どもに注ぐこと」、そして、子どもの特徴などをよく掴んで、特に未成年の間はよく伴走することを親に提言していて、その一貫性には納得する。本当に多くの親は、ただ子どもを塾に行かせれば、習い事をさせれば、お金をかけてレジャーをすればいいと思っている人が多い。もちろん、時には投資としてお金をかける必要もあるだろうが、その投資の妥当性を常に考える必要があるし、投資はお金だけでなく、時間も対象である。お金がなくても、子どもと一緒に勉強し、子どもと一緒に出かければ、十分なんらかの「学び」を得て、子どもに刺激を与えることもできるはずだ。そういったことにあまりに盲目的で、「うちの子は塾にいってるのに勉強しなくて。。。」などと語る親をみると、泣きたくなる。

 

子は、親を見て育つ。子どもに勉強して欲しいと思ったら、まず親である私が、熱心に勉強しつづけなくてはいけない、と強く、思っている。そのためにも、もっともっと、本をたくさん読まなくては。