This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

『親が子供ときちんと向き合い、人生に大切なものをしっかりと教えれば、公立でも私立でも子供は立派に育ちます』

 

宝くじで1億円当たった人の末路

宝くじで1億円当たった人の末路

 

もしあの時、こういう選択をしていたら、今の人生は違うものだったのかもしれない。

自分の人生に不満があるとき、なんだかうまくいかないなーと思っているとき、その原因を過去に求めようとする、ということは決して珍しくないことだと思う。

現在の問題と向き合いたくないときには格好の逃げ場となるが、結局過去を後悔したところで現実がなんら変わるわけではない、というのもまた現実だけれども。

 

そして、その視点から抜け出す上で最も効果的な方法の一つは、自分が選択しなかった「あの人生」を生きた人が、その後どうなるのかを知ることだと思う。

結論から言えば、私がいま後悔している「あの人生」を生きたところで、なにかしら悩む種や困りごとはあり、「バラ色の人生」ではないんだという確信が強まった。

この本では、一億円当たった人や、教育費にお金をかけまくる人、バックパッカーなど、安易な思考に陥ったときについつい羨ましいと思いがちな人たち、普段の生活でなんだか目に付く人たちやそこに関する専門家をうまく見つけ出し、「その人たち」の末路を描き出す。結局わかることは、自分の選択を主体的に受け入れ、与えられたパイの配分を考えながら、最適解を考え続けることが幸せの近道だ、ということだ。

事実、著者が認めているように、この本を読めば読むほど、「同調圧力に自分を合わせることがいかにナンセンスか」(周りの人に合わせたところで、幸せになるわけでは全くない)、「自分がそれを望むなら、堂々と"人と違うこと"をやればいい」(自分で幸せだと思うことは他人とは違う)ということを思い知る。

 

周りに合わせて子供に多大な教育費をかけたところで、子供にあったものでなければその教育投資は無駄なものになるだけでなく、自己破産しかねない。

パックパッカーになって自分探しの旅を続けたら、そのあと大企業で働くのは難しいかもしれないけど、ニートになるしかない、というわけでもない。

宝くじで一億円当たったとしても、そのお金をうまくマネジメントできないと、破滅につながる。

 

結局、自分の人生の目的をどこに設定するのか、そしてその目的に対してどのような手段を講じるのかというのは、その人の好みやスタイルや家族や能力などによって千差万別だし、自分がその選択に満足するかどうかでしかないというわけだ。

 

子育てをしていると、当たり前のように「一戸建てを買う」ことを目標にしている人たちに出会うが、なぜ一戸建てを買いたいのか。「賃貸だとお金がなくなったら住むところがなくなる」というが、買った場合もローンが払えなかったらなくなるし、災害で住み続けられなくなるリスクもある、なにより30年も経たないうちに、リフォームなどの大掛かりなメンテナンスが必要になる。安易な「安泰そう」という選択肢に流れてしまうことの危険に無頓着すぎるのだ。

 

周りのいうことや、一見もっともらしい「常識」にとらわれて、自分の人生を見失ってはいけない、と強く思い知らされる。そして、「自分はなにを幸せに感じるのか」をしっかり見極めて選択をしなくてはいけない、とも。