This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

アメーバ経営

 

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役

 

 転職活動の際にちょっとしたキッカケがありまして、興味を持ちました。

本自体は読み易い、はずなのに、3週間ほどかかってしまって・・・

転職活動しながらの読書だった、ということも確かにありますけども、それ以上にいろいろ問題が目につくという・・・

読み終えて思うのは、多分これ、凝縮すれば10ページぐらいで終わることを、何度も何度も繰り返し書いてるんですよね。だから、最後の方は既視感しかない・・・

 

・「人類はその黎明期において」といきなり1万年前ぐらいに飛んで歴史的解釈をするんだけど、これは本当に歴史科学的に正しい話なのだろうか。商売が大きくなり、経営者と労働者という関係が生まれたわけではないと思うし、そもそも経営者的立場にいた人は「自分の儲けを増やす」ことが命題だったと思うんですが・・・詳しい人に聞いてみよう

 

・何度も出てくる「フィロソフィー」って、確かに理想的だしそういう会社に勤めたいと思うけど、いわゆる「強制された自発性(by「労務管理の生成と終焉」日本経済評論社 2014/4)」を促しているだけ。「公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、博愛」というのは、一見、確かに正しいけど、実は非常に曖昧な概念で、とくに会社人として生きる時に、それぞれの概念に悩むことはある。公平と一言でいっても、どんな人に対しても同じように接することも、頑張っている人を頑張っているなりに評価することも「公平」という形で表現される。

 つまり、これらの文言を用いて、結局は経営者・上司などの思う方向に持っていきたいだけだし、むしろ何かの失敗などを追及するときに、上記の一見「人として大切なこと」に訴えかけるのは、良心に直接訴えかけるためよりインパクトが大きく、申し訳ないけど「ブラック企業化」を後押ししているだけに思える。

→この辺りは、月次の予定は「リーダーの強い意志と努力によって100%達成されるべき」という文言や、経営者や上司が掲げた目標を達成するという目標を達成するためには、「大幅な値下げをしようと、何としても採算を出すのだ」という気合が大事だとする考え方にも通じる。結局は「なんとかしてください」という丸投げの理論。

 

いろいろと著者の強い思いがあるのはよくわかったし、その思いの結果、このような大きな会社になった、と思っているということはよくわかったけれど、本質的なところは研究者などにしっかり調べてもらわなきゃなんだろうな。調べてあるかもしれないですね、私が知らないだけで。

 

知らない会社について「ブラック企業」などというレッテル張りをするつもりはないんですが、この本を読む限りは、ブラック企業になる要素は十分持ち合わせた会社なのではないかと思ってしまいました。知り合いに、関連企業で人事系のことをやってた人がいると思うので、ちょっと聞いてみようかな。