This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

困ってるひと

困ってるひと

困ってるひと

困ってるひと。
気になってた大野更紗
ツイッターとか「シノドス」とか見てる分には、正直「どーなのかなー」と思わざるを得なかったけど、
実際、この本を読んでみると、面白くってあっという間に読み切っちゃった。
そんな本。

闘病記を書いてるだけなんだけど
ところどころ、社会制度の解説なんかも入っているので考えさせられる。

お尻流出事件とかは、正直、どういうことなのか、想像さえできない。
けど、こういう経験をしているひとが、()付きではあっても、社会で、1人で、「自立して」いきているっていうことに
結構励まされる。

一番胸に来たのは、友人達から「もう限界」といわれるシーンと、「クマ先生」の「ミス」を聞いてしまった瞬間。
本人がゆっていることは至極当然で、でも他方で、そうせざるをえなかったという著書の選択もまた決して間違いと断じることはできない。
そういうなかで、「だれも悪くないのに誰かが傷ついてしまう」という状況を直視しているのが、素直に偉いと思う。
普通なら「弱者に寄り添わない最低な人達」と断罪してもおかしくないのに。
きっと、いわゆる『弱者』が持ちうるパワーをも理解しているんだろうな。

自分が一種の「難民」になって、初めて難民の辛さが分かるという著者。
彼女のいうように、いわゆる「健常者」は、結局、「健常者以外の人」の痛みがわからない。
それは、私たちが、海外からの「難民」や「出稼ぎ労働者」の辛さがわからないように。

だけど、それならば、せめて、彼らが自分達の「生きる道」を模索出来るようにサポートしようよ。
彼らがなんらかの運動を始めたいというならば、せめてそれを否定せず見守るとか。
共感出来るなら金銭的/身体的にサポートするとか。

分かり合えなくても、お互いを尊重することはできるはず。

絶望の縁に会った大野さんに、すごく励まされた。

そんな一冊。

ただし、これを読んだからって、自分がどう生きればいいのか、どうしたら弱者が幸せになるかはわかりません。
あくまでも、「こんな人もいるんだ」レベル。
(褒め過ぎたので、ちょっと自重。)