This is the day

レビューを書いて文章力をあげたいという甘い考えの産物です。

ガール

ガール (講談社文庫)

ガール (講談社文庫)

なにかで紹介されて、衝動的に読みたくなった「ガール」。
むかし、確か高校生ぐらいの時に、一度読んでました。
でも、その頃とは、ちょっと違う印象が…。

前に読んだときは、「自立した女のかっこよさ」みたいなところに目がいって、「キャリアウーマンになるぞー!おー!」という気持ちがいっぱいだったわけですが、今度は打って変わって、「自立した女性の弱さ」みたいなものが全面に読みとれました。

この本は、いくつかの短編小説から成り立ってて、いずれも、既婚オア未婚のアラサーバリバリキャリアウーマン“女子”たちなわけですが、ストーリーのなかでは、子持ち専業主婦とか、ぴちぴちの新卒女子社員とかもでてくるわけです。
んでもって、アラサー女子たちが自分達の生き方を子持ち専業主婦とかと対比させたりして、でも最終的には「私の生き方間違ってなかった」というストーリー。
確かに、爽快だし、気持ちいいし、可愛いお話が多いし、結構共感できる。
が、どのストーリーも常に「誰かと比較して優位な自分」という構図がある。
これって、まぁある意味普遍的なんだけど、私の印象としては「とってもバブリー」。
対象となる“女子”たちは、バブル時代を謳歌してるんだよね。
だから価値観は常に「勝ち組」「負け組」なのである。

私は、その価値観に、居心地の良さを覚えるけれども、
居心地がいいあまり、将来への「いきおい」みたいなものを感じられない。
もちろん、表面上は「もっと頑張ろう」とか「このまま突き進め」みたいなことがあるんだけど、
結局、彼女達って、自分を全肯定してほしいだけなんだよねぇ…。
せっかく自分を省みるチャンスが与えられているのに、
そのチャンスはほぼ用いられていない。

なんかそれって、虚しい気がするんだよね…。
というわけで、結局、大人の「女性」になりきれない「ガール(女子?)」を描いてるんだろうな、というところで落ち着くのです。