よい社会の探求
ロールズとかギデンズとかをなんちゃって読みしていた時代を思い出した。
彼らの引用を読んで「昔の著名なこの人って、こーゆーこと言ってたんだ!」とわかった気になっていた頃。
この本も、気をつけないとそういう風に読めてしまうなーと思った次第。
思想史は面白いけど、ただの「まとめ」であれば、結局まとめる人の「まとめたい方向性」があってのまとめになってしまうわけで、それぞれのテキストを象徴するものではない。
しかもこの本は、「よい社会の探求」というタイトルがつきつつ、実際は「よい社会の探求をどのようにしてきたのか」だったのか、というのがちょっとがっかり。
結局読むほど、「よい社会ってなんじゃい」という思いがぬぐえなかったけど、最終的に「正解はリクールの考え方じゃないかな」みたいな方向性がでてきて、「よい社会っていうのは結局、個々人それぞれの物語の中にある」のかなーと思った。
ともかく、新生児を育てながら読む本じゃないね。思うことがあっても、とてもじゃないけど、思考をまとめられない。が、少なくとも、今までの思想史の系譜をある程度概観することで、多少の議論の武器は得られたかもしれない。
他方、何千年も議論されてても、結局思想史でかんがえられていることがなかなか行き渡らないことを考えると、実践とはなんなのか、と考えさせられる。